2012年2月2日木曜日

感染力と予防力 - ぱんだ通信

今年の当院で診断のインフルエンザ患者さん。
内訳はおおよそ,ワクチン未接種が6割,1回接種が2割,2回接種が2割,です。

でも症状がつらそうな方は,やはり未接種者。
1回でも2回でも接種しているお子さんは,比較的元気で,発症も緩やかな印象です。
インフルエンザ。個人での予防接種による予防率,おおよそ,成人で7割,学童で5割,幼児で2〜3割,といわれています。現場でもそんな印象ですね。予防接種は,予防に加え,軽症化も目的の一つです。

接種率。
インフルエンザ予防接種(感染症)は個人防衛が目的というより,たくさんの人が接種して集団防衛しよう,というのが主目的です。接種した人みんなが予防できる,という位置付けではありません。

感染症の流行を抑えるには対象者全体の接種率95%が必要と言われています。

麻疹(はしか)は近年では流行がみられなくなってきましたね。接種率が95%前後まできています。患者発生は,年間数十人〜数百人程度。これは予防接種の国民全体としての効果でしょう。国,地方自治体総力をあげての結果です。

水痘やおたふくかぜは,正確な統計はありませんが接種率は推定20〜30%。年間患者数が数十万人です。
水痘は,将来の帯状疱疹や帯状疱疹神経痛などで悩まされる患者さんがたくさんいます。
おたふくかぜは,髄膜炎や難聴などの合併症もけっこうあります。おたふく難聴などは治療がありません。

インフルエンザも同じ考えです。
ワクチンは毎年2000万〜3000万くらい出荷されるのかな。国民1.2億人として,接種率20%程度?これではどうでしょう・・
個人としても集団としても予防力は今ひとつです。感染力のほうが圧倒的に強いでしょうね。
高齢者を中心に,インフルエンザによる直接死亡に加え,間接死亡(インフルエンザで元々も病気が悪化して・・)を加えると,毎年1万人くらいお亡くなりになる病気です。国も本腰入れて予防に力を入れ,膨張する医療費抑制に一役買うべきかと・・

感染症は,個人防衛というより,集団防衛でいくべきです。
少しずつ諸外国のように,予防接種の法定化がすすむ方向にはきています。

診断と治療,よりも,予防。医療費削減のためにも,お子さんの体のためにも,この姿勢が大切です。

当院の予防接種外来も慢性的にパンク状態。さらに種類が増え,特に1歳くらいまでは予防接種渋滞になります。

4月以降は,少し体制を検討します。
診療よりも,予防接種外来にウェートが移行していくでしょうね。

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