2012年4月25日水曜日
『メディイカル トリビューン 2011年2月27日、Vol.44,No7』
に、とても興味深い記事が載っていました。
大事にファイルにしまい込んで忘れてましたが、昨日資料を整理していて、出てきました。
肥満と死亡リスク上昇の関連は、いままでいろいろ研究報告がありましたが、結果はバラバラで、一定の結論はでていませんでした。
米疾病管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)のガイドラインでは、BMIが
18.5〜24.9を標準
25.0〜29.9を過体重
30.0以上を肥満
35.0以上を重度肥満
と定義しています。
特に、BMIが25.0〜29.9の過体重グループに関しては、18.5〜24.9の標準よりも、かえって死亡リスクが少ないという報告もありました。
今回のニューイングランド・ジャーナルの報告は、白人成人146万人が対象で大規模な研究です。
結論からいうと、
「健康で喫煙歴がない白人成人では、BMI 20以上25未満で全死亡率最も低い」
ということです。
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喫煙歴や既往歴がない健康な成人を選んだ研究ですので、シンプルにBMIと死亡リスクの関係を分析できたということです。私も信頼度は高いと思います。
世界ガン研究基金の2007年の報告でも「BMIは21〜23の範囲が一番よくて、BMI25未満が推薦」ですので、 一応明確な目安ができたと言えます。
一方、人種や民族で異なる可能性があるということです。
しかし、日本人の場合は、BMI25や26程度の過体重でも、白人に比べて内臓脂肪がつきやすいとされているので、やはり「BMI 20以上25未満」を目指すのが無難と思われます。
江部康二
☆☆☆☆☆
『メディイカル トリビューン 2011年2月27日、Vol.44,No7』
【過体重と肥満は全死亡率上昇に関連
BMI 20以上25未満で全死亡率最も低い
米国立衛生研究所(NIH)のAmy Berrington de Gonzalez博士らが,前向き研究19件のデータを分析し,白人成人におけるBMIと全死亡率との関連を検討した。
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その結果,健康で喫煙歴のない成人では,BMIが20以上25未満であると全死亡率が最も低いことが分かった。
詳細は,New England Journal of Medicine(2010; 363: 2211-2219)に発表された。
白人成人146万人が対象
米疾病管理センター(CDC)と世界保健機関(WHO)のガイドラインでは,BMIが18.5〜24.9を標準,25.0〜29.9を過体重,30.0以上を肥満,35.0以上を重度肥満と定義している。
過体重と死亡リスク上昇の関連を検討したこれまでの研究では「リスクがやや上昇する」,「リスクが低減する」との相反する結果が示されており,結論が出ていない。
また,肥満の程度別に検討した死亡リスクの差も明らかになっていない。
そこでGonzalez博士らは,19〜84歳の白人成人146万人を対象とした19件の長期前向き研究のデータから,BMIと全死亡率との関連を検討した。
各研究の追跡期間は5〜28年である。
検討の結果,健康で喫煙歴のない成人では,BMIが20以上25未満であると全死亡率が最も低いことが分かった。
健康で喫煙歴がない場合,過体重の女性では,追跡期間中の死亡リスクが,BMI 22.5〜24.9の女性に比べて13%高いことが分かった。
肥満(重度を含む)の女性では,死亡リスクが著しく高かった。
BMIが30.0〜34.9の女性では,22.5〜24.9の女性に比べて死亡リスクが44%高く,35.0〜39.9の女性では88%高かった。
BMI 40.0〜49.9の女性の死亡リスクは2.5倍だった。
男性においても,ほぼ同様の傾向が示された。
男女を総合すると,BMIが5単位上昇するごとに,死亡リスクは31%上昇した。
同博士は「今回の研究では,広域なBMIと,肥満と死亡リスクとの関連に影響を及ぼす可能性のある他の因子を評価することができた。喫煙と既往歴は,死亡リスクや肥満と強い関連が示されている。今回はそうした因子を有する者を除外することで,これらの因子による影響を最小限にし,BMIと死亡リスクの関連を正確に分析できた」と述べている。
人種や民族で異なる可能性も示唆
飲酒量や身体活動度,教育レベルなどを調整した後も,同様の傾向が示された。
すべての年齢層においてBMI 25以上では死亡リスクの上昇が認められたが,50歳未満の過体重または肥満の層で,その傾向がより顕著だった。
Gonzalez博士らは,BMIと死亡率の関係は,人種や民族によって異なる可能性があると指摘している。
人種や民族別のBMIと死亡率の関係は,現在,検証中だ。 】
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